ゆめの木文庫
記憶を掘り返して見ても
品があって、優しい雰囲気を持つ女性だった。
今はもう75歳くらいだろう。
個人で運営していたその児童向けの図書施設には大分お世話になった。
何か特別な話をおぼえているわけではないけど、そこに通ってはゴロゴロして本を読んでいた。
「のはらのうた」が何故がすごくお気に入りで何回か読んだ記憶がある。
それから海外の絵本は結構怖い絵柄の間があって、完全にうろ覚えなんだけれど、
兄弟たちがみんな氷漬けにされてそれを助ける話の絵本があったような。絵がね、怖いんだよ。でもそれも何回か見たな。癖になって笑
そこには本の他に将棋、囲碁、ベイゴマとかがあった。
将棋のやり方なんて覚えられないから、
将棋崩し?、積み将棋?をやった。
その遊びをした時は年上の女の子がいたような気がする。
でも、基本的には誰といた記憶もなく、
ただ、カンケさんがいて、俺は本を読んでいた。そしてたまに話しかける。
施設の匂いも好きだった。
(子ども頃、匂いに敏感で、幼稚園の先生の匂いがとにかくダメだった。それでその先生のことはあまり好きになれなかったとか、変な記憶がある。)
天井では。大きな扇風機がくるくると、回っていた。あれはなんて呼ぶのかな?
それを眺めるのも好きで。
たまに子ども会?とかで、その施設を使う時とあったけど、その時は違った気持ちでいて。
慣れ親しんでいる場所を別の用途で使う感覚。
そんな感覚の子どもたちがきっと俺、以外にもたくさんいたんだろうな、それだけ温かい空気があった。
いつからか行かなくなったけど、もっとたくさんいけばよかったな。
大人になって話したカンケさんは、
やはり綺麗で品のある人だった。
話し方も穏やかで。
そりゃ、ここが好きになるよねと
子どもの時の自分に最大の賛同をした。