岡本かの子 朧 夏目漱石 心
1.朧 /岡本かの子
https://www.aozora.gr.jp/cards/000076/files/1288_7932.html
○メモ
「日本的なるもの」の一つに「朧」がある。
という一文から始まる。それだけで水面に映る朧げな月を想像の中に見た。
朧という概念を自分に綺麗な形で飲み込ませてくれた本。
2.こころ/夏目漱石
https://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/773_14560.html
○メモ
国語の授業で「先生」の過去の手紙を読んだ人も多いと思う。けれどその手紙の部分は長い手紙のほんの一部。そしてさらにその手紙自体が「こころ」の下巻にあたる。
上巻は青年の先生との出会い、そして
先生の過去に存在する影がまるで、何の変哲も無い部屋にある決して開けてはいけない扉のように、大きな存在感を持って物語を動かしていった。
更に青年の父が衰弱していく様子が現実の出来事のようでひしひしと人間の老いを感じた。実のところ大きな出来事は先生の過去にあるのみでそのほかは実に自然な出来事だ。それでも面白い作品だった。
この作品にまるで古臭さを感じないというのは本当にすごいことだ、登場人物の思想は「古い」考えかたであると自覚した上での「古い考え」か、またはこの時代ではすごく先進的な思想に見えた。この内容を授業でやるというのはすごいことだし、もし全文をしっかりと読んでいる人で溢れる世の中なら今とは少し違った世界になるだろうとも思った。