なりたかった大人
俺の考えていた理想の大人、彼氏、夫というのは自分の仕事や自分自信が抱える問題は難なくこなして、好きな人や妻にすぐに寄り添ってあげられる人だ。
たくさん稼いでいて、
それでいて自分のことで病まない、献身的な奴。
彼女が目指してるもので
収入の安定しないものを支えてあげられるとなお良い。
それがドラマや創作物、平和な家庭を見て思っていたことだった。
堅実な道を選んで、パートナーに自己犠牲を感じないで尽くすのである。
だけど、実際大人になってみて、
「社会」に置かれたとき、
俺は自分のことすらままならなかった。
支えるどころか支えられる側に落ち込むほどに精神的に弱かったのだ。
毎日サラリーマンとして通勤電車に乗り、決まった時間に会社に行き仕事をすることが
こんなにも自分にとって出来ない事だとは思いもしていなかった。
内容が嫌だと環境を変えれば
罵詈雑言を怒鳴り散らす人に遭遇して
病みかけてしまった。
結局安定した道を自分は歩けない事、
それを望んでいない事に気付いた時には、
自分の思い描いていた大人のことなど忘れていた。
献身的にはいられない、
自分は自分が結局大切なのだろう。
優しいと言われることが多かったし、
事実はそうじゃないことを知っていたから
自分もそうなりたいと努めていた。
いつから人より自分に優しくなってしまったのか覚えていない。
「まともな大人になって行く気がする」と
俺を評してくれた人に今は顔を合わせたいと思えないでいる。
追記
この歌の
「私もうやめた、世界征服やめた 今日のご飯考えるので精一杯」の歌詞が大人になったら響くと呟いてる人がいた。
俺も好きな歌だったから、あぁ本当だ。
今俺そうなってるって思ったよ。